Last Updated on 2025年7月28日
PCを使っていると、突然「コンピューターのメモリが不足しています」という警告メッセージが表示され、動作が重くなったり、アプリケーションがクラッシュしたりすることはありませんか? このエラーは、PCがアプリケーションやシステムプロセスを実行するために必要なメモリ(RAM)が足りなくなっている状態を示しています。
メモリ不足は、PCのパフォーマンス低下に直結し、作業効率を著しく低下させます。今回は、このエラーが発生する主な原因と、Windows 11を例に、ご自身でできる具体的な対処法について詳しく解説します。メモリ解放ツールの活用や仮想メモリ設定の見直しなど、効果的な解決策をご紹介しますので、ぜひ快適なPC環境を取り戻し、スムーズな作業を実現するために役立ててください。
目次
- 1. 「コンピューターのメモリが不足しています」とは?
- 2. メモリ不足エラーが発生する主な原因
- 3. まず試すべき!簡単な対処法
- 4. Windows 11で試す!より詳細な対処法
- 5. それでも解決しない場合の最終手段
1. 「コンピューターのメモリが不足しています」とは?
「コンピューターのメモリが不足しています」というメッセージは、PCのメインメモリ(RAM)が、現在実行中のアプリケーションやシステムプロセスが要求するデータ量を処理しきれていない状態を指します。
PCは、アプリケーションを起動したり、ファイルを編集したりする際に、一時的にデータをRAMに保存します。RAMの容量が不足すると、PCは代わりにハードディスクの一部を仮想メモリ(ページングファイル)として利用しようとします。しかし、仮想メモリはRAMに比べて非常に低速なため、これが頻繁に発生するとPC全体の動作が著しく遅くなり、最終的にエラーメッセージが表示されたり、アプリケーションが応答しなくなったりするのです。
2. メモリ不足エラーが発生する主な原因
メモリ不足エラーが発生する原因は多岐にわたりますが、主なものとしては以下の点が挙げられます。
- 同時に多数のアプリケーションを起動している: 特にWebブラウザのタブを大量に開いたり、動画編集ソフトやゲームなどメモリを大量に消費するアプリケーションを複数起動したりしている場合。
- メモリリークを起こしているアプリケーションがある: 特定のアプリケーションがメモリを解放せず、使い続けてしまう現象。
- PCの物理メモリ(RAM)が不足している: 搭載されているRAMの容量が、現在のPC利用状況に対して不十分である。
- 仮想メモリの設定が不適切: 仮想メモリのサイズが小さすぎる、または設定が最適化されていない。
- バックグラウンドで不要なプロセスが多数動作している: 常駐ソフトやWindowsのサービスなど、目に見えないところでメモリを消費している。
- 一時ファイルやキャッシュが肥大化している: 不要なファイルが蓄積され、システムリソースを圧迫している。
- ウイルスやマルウェアの感染: 悪意のあるプログラムがメモリを大量に消費している。
3. まず試すべき!簡単な対処法
メモリ不足エラーが発生したら、まずは以下の簡単な対処法から試してみましょう。多くの場合、これらの基本的な手順で問題が解決します。
3-1. 不要なアプリケーションを閉じる
最も直接的な解決策です。現在使用していないアプリケーションや、バックグラウンドで動作している不要なアプリケーションを終了させましょう。特にWebブラウザのタブはメモリを大量に消費しがちなので、不要なタブは閉じるようにします。
3-2. タスクマネージャーでメモリ使用量を確認する
どのアプリケーションやプロセスがメモリを大量に消費しているかを確認できます。
- タスクバーを右クリックし、「タスクマネージャー」を選択します。
- 「プロセス」タブをクリックし、「メモリ」の列をクリックして使用量が多い順に並べ替えます。
- 不要なアプリケーションやプロセスがあれば、選択して「タスクの終了」をクリックします。
3-3. PCを再起動する
PCを再起動することで、一時的に確保されていたメモリが解放され、システムがクリーンな状態に戻ります。メモリ不足エラーが一時的なものであれば、これで解決することが多いです。
4. Windows 11で試す!より詳細な対処法
基本的な対処法で改善しない場合は、Windows 11の詳細な設定やシステムの問題にアプローチしてみましょう。
4-1. 不要な常駐プログラムを停止する
PC起動時に自動的に実行される常駐プログラムの中には、常にメモリを消費しているものがあります。不要な常駐プログラムを停止することで、メモリ使用量を削減できます。
- 「タスクマネージャー」を開きます。(上記3-2の手順1)
- 「スタートアップ」タブをクリックします。
- 「状態」が「有効」になっているプログラムの中から、不要なものを選択し、「無効にする」をクリックします。
- PCを再起動し、効果を確認します。
4-2. 仮想メモリ(ページングファイル)の設定を見直す
物理メモリ(RAM)が不足した際にPCが使用する仮想メモリの設定が不適切な場合、メモリ不足エラーの原因となることがあります。通常はシステム管理サイズが推奨されますが、手動で増やすことも可能です。
- Windowsの検索バーに「システムの詳細設定の表示」と入力し、起動します。
- 「システムのプロパティ」ウィンドウの「詳細設定」タブで、「パフォーマンス」セクションの「設定」をクリックします。
- 「パフォーマンスオプション」ウィンドウの「詳細設定」タブで、「仮想メモリ」セクションの「変更」をクリックします。
- 「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外します。
- システムドライブ(通常はC:)を選択し、「カスタムサイズ」を選択します。
- 「初期サイズ」と「最大サイズ」に推奨される値を入力します。一般的には、物理メモリの1.5倍~2倍程度が目安とされますが、PCの用途によって調整が必要です。
- 例:物理メモリが8GBの場合、初期サイズを12288MB (8GB x 1.5)、最大サイズを16384MB (8GB x 2) など。
- 「設定」をクリックし、「OK」をクリックして閉じます。
- PCを再起動し、効果を確認します。
4-3. ディスククリーンアップで一時ファイルを削除する
PC内に蓄積された一時ファイルやキャッシュが、システムリソースを圧迫し、メモリ不足の原因となることがあります。定期的にディスククリーンアップを実行し、不要なファイルを削除しましょう。
- Windowsの検索バーに「ディスククリーンアップ」と入力し、起動します。
- クリーンアップするドライブ(通常はC:ドライブ)を選択し、「OK」をクリックします。
- 「システムファイルのクリーンアップ」をクリックし、再度ドライブを選択します。
- 「削除するファイル」の一覧から、削除しても問題ない項目(例: 一時ファイル、ごみ箱、ダウンロードしたプログラムファイルなど)にチェックを入れ、「OK」をクリックして削除を実行します。
4-4. メモリ解放ツールを活用する
手動でのメモリ解放が面倒な場合や、より効果的にメモリを最適化したい場合は、メモリ解放ツール(RAM最適化ツール)の利用を検討するのも一つの方法です。これらのツールは、不要なプロセスやキャッシュを自動的に解放し、メモリを最適化してくれます。
ただし、過度なメモリ解放はかえってシステムの安定性を損なう可能性もあるため、信頼できるツールを選び、注意して使用しましょう。
4-5. Windows Updateを実行する
Windowsのシステムや関連コンポーネントが最新の状態でない場合、メモリ管理に問題が発生することがあります。Windows Updateを実行し、システムを最新の状態に保ちましょう。
- Windowsのスタートボタンを右クリックし、「設定」を選択します。
- 左側のメニューから「Windows Update」をクリックします。
- 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新プログラムがあればインストールします。
4-6. ウイルスやマルウェアのスキャン
悪意のあるプログラムがバックグラウンドで動作し、大量のメモリを消費している可能性があります。Windows Defenderや信頼できるセキュリティソフトでフルスキャンを実行し、検出された脅威を駆除しましょう。
5. それでも解決しない場合の最終手段
上記の対策をすべて試してもメモリ不足エラーが頻繁に発生し続ける場合、PCの物理メモリ(RAM)自体が不足している可能性が高いです。以下の最終手段を検討してください。
- 物理メモリ(RAM)の増設:
最も効果的な解決策は、PCに搭載されているRAMの容量を増やすことです。特に、現在のRAMが4GBや8GBで、動画編集やゲームなどメモリを多く消費する作業を行う場合は、16GB以上への増設を検討しましょう。
(※PCのモデルによって増設可能なメモリの種類や最大容量が異なります。事前にPCメーカーのウェブサイトやマニュアルで確認してください。メモリの取り付け作業は、PCの保証を無効にする可能性があるため、自信がない場合は専門家にご相談ください。)
- Windowsの初期化(リセット)またはクリーンインストール:
ソフトウェア的な問題を全て排除するための最終手段です。これにより、システム内の破損や不要なプログラムが解消される可能性があります。必ず事前に重要なデータのバックアップを取ってください。
- 新しいPCへの買い替え:
古いPCでメモリの増設が難しい場合や、PC全体の性能が不足している場合は、新しいPCへの買い替えも視野に入れる時期かもしれません。現在の用途に合った十分なメモリ容量と処理能力を持つPCを選びましょう。
まとめ
「コンピューターのメモリが不足しています」というエラーは、PCのパフォーマンスに直結する重要な問題です。まずは不要なアプリケーションを閉じたり、タスクマネージャーでメモリ使用量を確認したりといった簡単な対処法から始めましょう。
それでも解決しない場合は、仮想メモリの設定見直しや、メモリ解放ツールの活用、そして最終的には物理メモリの増設を検討することが、快適なPC環境を取り戻すための鍵となります。日頃からPCのメモリ使用状況を意識し、定期的なメンテナンスを行うことで、ストレスなくPCを利用できるようになります。


