Last Updated on 2025年7月28日
Windowsパソコンを起動しようとした際に、画面に突然「オペレーティングシステムが見つかりません (Operating System not found)」というメッセージが表示され、それ以上進めなくなったことはありませんか? このエラーは、パソコンが起動に必要なWindowsのシステムファイルや設定を見つけられない場合に発生し、多くのユーザーを困惑させます。
このやっかいなエラーは、単純な設定ミスから、より深刻なハードウェアの故障まで、さまざまな原因によって引き起こされます。特に、「マスターブートレコード (MBR) の破損」や「BIOS/UEFIの起動順序設定ミス」が一般的な原因として挙げられます。この記事では、Windows 11を例に、このエラーが発生する主な原因を深く掘り下げ、ご自身でできる具体的な解決策を段階的に詳しく解説していきます。安全にパソコンを起動できるよう、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 1. 「オペレーティングシステムが見つかりません」エラーとは?
- 2. エラーが発生する主な原因と概要
- 3. まず試すべき!基本的な対処法
- 4. Windows回復環境から解決する詳細な対処法
- 5. それでも解決しない場合の最終手段
1. 「オペレーティングシステムが見つかりません」エラーとは?
「オペレーティングシステムが見つかりません (Operating System not found)」というエラーメッセージは、パソコンが電源投入後にWindowsを起動するための必要なプログラムやデータを見つけることができない場合に表示されます。通常、このエラーが出ると、OSがロードされず、Windowsのデスクトップ画面に到達できません。
このエラーは、必ずしもWindowsが完全に壊れていることを意味するわけではありません。むしろ、以下のような原因で、起動プロセスが正常に機能しないことが原因である場合が多いです。
- Windowsの起動に必要なファイルが破損している
- OSがインストールされているドライブが正しく認識されていない
- 起動デバイスの優先順位が間違っている
- ディスクの物理的な問題
2. エラーが発生する主な原因と概要
このエラーが発生する背景には、いくつかの具体的な原因が考えられます。それぞれの原因と、それがどのような問題を引き起こすのかを把握しておくことで、適切な対処法を選択できます。
| 主な原因 | 詳細 | 影響 |
|---|---|---|
| MBR (マスターブートレコード) の破損 | MBRは、ハードディスクの先頭に存在する、OSの場所や起動方法を指示する非常に重要な領域です。これが破損すると、Windowsはどこから起動すればよいか分からなくなります。 | PC起動時にエラーメッセージが表示され、OSがロードされない。 |
| BIOS/UEFIの起動順序設定ミス | PCはBIOS/UEFIの設定に基づき、どのドライブ(HDD、SSD、USB、DVDなど)からOSを読み込むかを決定します。この順序が誤っていると、OSがインストールされていないドライブから起動しようとしてエラーになります。 | OSが入ったドライブが優先されず、別のドライブから起動しようとする。 |
| ハードウェアの接続不良・故障 | OSがインストールされているHDDやSSDのケーブルが緩んでいたり、物理的に故障していたりする場合、PCがドライブを認識できません。 | ドライブ自体がPCに認識されず、OSが見つからない。 |
| システムファイルの破損 | Windowsの起動に必要な重要なシステムファイルがウイルス感染、シャットダウン中のエラー、ソフトウェアの競合などにより破損した場合。 | OSのロードに必要な情報が読み取れず、起動プロセスが停止する。 |
| 誤ったパーティションのアクティブ化 | OSがインストールされていないパーティションが誤って「アクティブ」に設定されている場合、PCはそこから起動しようとして失敗します。 | 正しい起動パーティションが見つけられない。 |
3. まず試すべき!基本的な対処法
「オペレーティングシステムが見つかりません」エラーに遭遇したら、まずは以下の基本的な対処法から試してみましょう。多くの場合、これらのシンプルな手順で問題が解決することがあります。
3-1. BIOS/UEFI設定で起動順序を確認・変更する
パソコンがどのドライブからOSを読み込むかを指定する設定がBIOSまたはUEFIです。この設定が誤っていると、「オペレーティングシステムが見つかりません」エラーが発生することがあります。
確認・変更手順
- PCの電源を入れ、すぐにBIOS/UEFI設定画面を起動します。
- 多くのPCでは、電源投入直後にDeleteキー、F2キー、F12キー、Escキーなどを連打することで設定画面に入れます。メーカーや機種によってキーが異なるため、PCの取扱説明書を確認するか、起動時に画面に表示される指示を確認しましょう。
- 「Boot (起動)」または「Boot Order (起動順序)」といった項目を探します。
- 設定画面のメニュー構成はメーカーによって異なりますが、通常は起動に関する項目があります。
- OSがインストールされているドライブ (通常はHDDまたはSSD) が最優先になっているか確認します。
- もし、USBメモリやDVDドライブが優先されている場合、それらのデバイスにOSがなければエラーが発生します。
- OSがインストールされているドライブを一番上に移動させ、優先順位を上げてください。
- 変更を保存してBIOS/UEFI設定を終了します。
- 通常はF10キーで保存・終了の選択肢が出ます。
変更後、PCが正常に起動するか確認してください。
3-2. 不要な外部デバイスを取り外す
接続されているUSBメモリ、外付けHDD、DVD/CD、SDカードなどの外部デバイスが原因で、PCが誤ってそれらのデバイスから起動しようとしている可能性があります。PCに接続されている**全ての外部デバイスを取り外して**から、再度PCを起動してみてください。
4. Windows回復環境から解決する詳細な対処法
基本的な対処法で解決しない場合は、Windowsの回復環境からより高度なトラブルシューティングを行う必要があります。この作業には、**Windowsのインストールメディア (USBメモリまたはDVD)** が必要です。もし持っていない場合は、別のPCで作成する必要があります。
Windows回復環境へのアクセス方法
- WindowsインストールメディアからPCを起動します。
- インストールメディアをPCに挿入し、PCの電源を入れてBIOS/UEFI設定でインストールメディアからの起動を最優先にします。
- 「Press any key to boot from CD or DVD...」のようなメッセージが出たら、いずれかのキーを押します。
- 「Windowsセットアップ」画面で言語やキーボードを選択し、「次へ」をクリックします。
- 左下の「コンピューターを修復する」をクリックします。
- 「オプションの選択」画面で「トラブルシューティング」を選択します。
- 「詳細オプション」を選択します。
- ここから、以下の各修復オプションに進みます。
4-1. スタートアップ修復を試す
「スタートアップ修復」は、Windowsの起動に関する問題を自動的に診断し、修復を試みてくれる便利な機能です。
- 「詳細オプション」画面で**「スタートアップ修復」**をクリックします。
- 診断が開始され、自動的に問題が修復されるのを待ちます。
- 修復が完了したら、PCを再起動して問題が解決したか確認します。
4-2. MBR(マスターブートレコード)を修復する (bootrecコマンド)
MBRの破損が疑われる場合は、コマンドプロンプトからbootrecコマンドを使用して修復を試みます。
- 「詳細オプション」画面で**「コマンドプロンプト」**をクリックします。
- コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを順番に入力し、それぞれの後にEnterキーを押します。
- これはマスターブートレコード (MBR) を修復するコマンドです。
- これはブートセクタを修復するコマンドです。アクセスが拒否された場合は、以下のコマンドを試してください。
bcdboot C:\Windows(C:はWindowsがインストールされているドライブレター) - これはWindowsのインストールをスキャンするコマンドです。もしWindowsのインストールが見つかった場合は表示されます。
- これはブート構成データ (BCD) を再構築するコマンドです。スキャンで見つかったWindowsのインストールをブート構成に追加するか尋ねられたら、
Yと入力してEnterキーを押してください。 - すべてのコマンドが完了したら、「
exit」と入力してEnterキーを押し、コマンドプロンプトを閉じます。 - 「オプションの選択」画面に戻ったら、「続行」をクリックしてWindowsを起動します。
bootrec /fixmbr
bootrec /fixboot
bootrec /scanos
bootrec /rebuildbcd
これでPCが正常に起動するか確認してください。
4-3. システムファイルチェッカー (SFC) を実行する
Windowsの重要なシステムファイルが破損していると、起動プロセスに影響が出ることがあります。システムファイルチェッカー(SFC)ツールは、破損したシステムファイルを検出して修復するのに役立ちます。
- 「詳細オプション」画面で**「コマンドプロンプト」**をクリックします。
- コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
sfc /scannow - スキャンが完了するまで待ちます。完了後、問題が検出されて修復されたかどうかのメッセージが表示されます。
- PCを再起動し、エラーが解消されるか確認します。
4-4. CHKDSK(チェックディスク)コマンドを実行する
OSがインストールされているドライブに物理的なエラー(不良セクタ)や論理的な破損がある場合、ファイルが読み取れないことがあります。CHKDSKコマンドを実行して、ストレージの状態を確認し、修復を試みましょう。
- 「詳細オプション」画面で**「コマンドプロンプト」**をクリックします。
- コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します(例: エラーが出ているドライブがC:の場合)。
chkdsk C: /f /rC:: エラーが出ているドライブレターを指定します。Windowsがインストールされているドライブは通常C:ですが、回復環境では別のドライブレターが割り当てられる場合もあります。事前にdiskpartコマンドなどで確認すると良いでしょう。/f: ディスク上のエラーを修正します。/r: 不良セクタを特定し、読み取り可能な情報を回復します。
- CHKDSKの実行には時間がかかります。完了後、エラーが解消されたか確認します。
5. それでも解決しない場合の最終手段
上記の対策をすべて試してもエラーが解決しない場合、より深刻な問題が考えられます。以下の最終手段を検討してください。
- ハードウェアの接続確認:
- HDDやSSDのSATAケーブル、電源ケーブルがしっかりと接続されているか確認します。ケーブルが緩んでいたり、断線していたりすると認識されないことがあります。可能であれば、別のケーブルで試してみるのも有効です。
- メモリが正しくスロットに挿し込まれているか確認し、一度抜き差ししてみるのも有効です。
- BIOS/UEFIのリセット:
- BIOS/UEFIの設定が複雑に絡んでいる場合、初期設定にリセットすることで問題が解決することがあります。ただし、この操作を行うと設定が工場出荷時に戻るため、注意が必要です。
- Windowsの初期化(リセット)またはクリーンインストール:
- これまでのソフトウェア的な問題を全て排除するための最終手段です。これにより、システム内の破損や競合が全て解消される可能性があります。必ず事前に重要なデータのバックアップを可能な限り行ってください。回復環境から「PCを初期状態に戻す」または「新規にインストールする」オプションを選択します。
- 専門家への相談:
- これらの手順を試しても解決しない場合や、ご自身での対処が難しいと感じた場合は、PC修理業者やデータ復旧の専門家に相談することを強く推奨します。特に、ストレージデバイスの物理的な故障が疑われる場合は、無理な操作を続けるとデータが完全に失われる危険性があります。
まとめ
「オペレーティングシステムが見つかりません」エラーは、PC起動時の大きな壁となりますが、原因を特定し、適切な手順を踏むことで多くの場合解決可能です。まずはBIOS/UEFIの起動順序を確認し、その後Windows回復環境からのスタートアップ修復やMBRの修復を試みましょう。
もしこれらの方法でも改善しない場合は、ハードウェアの接続確認や、最終手段としてのWindowsの再インストールも視野に入れる必要があります。日頃から大切なデータのバックアップを習慣にしておくことで、万が一のトラブルの際にも被害を最小限に抑えることができます。この記事が、あなたのPCトラブル解決の一助となれば幸いです。


