「このデバイスの管理」が開けない、またはディスクが表示されない時の対処法

Last Updated on 2025年7月28日

WindowsのクリーンインストールやリカバリをUSBメモリから行おうとした際、突然「このデバイスに必要なドライバーがありません」というエラーメッセージが表示され、インストールが先に進めないという状況に遭遇することがあります。このエラーは、その名の通り、システムが内蔵ストレージ(HDDやSSD)やUSBポート、またはそれらを制御するチップセットのドライバーを見つけられない場合に発生し、特に新しい世代のPCやNVMe SSDを搭載したPCでよく見られます。

この問題に直面すると、Windowsのインストールが中断されてしまい、非常に困惑するでしょう。今回は、この「このデバイスのドライバーが不足しています」エラーが発生する主な原因と、ご自身でできる具体的な解決策について詳しく解説します。正しいドライバーの特定方法や、インストールプロセス中にドライバーを組み込む手順、さらにはドライバー署名に関する注意点まで、さまざまな角度から解決策をご紹介しますので、ぜひ安心してWindowsのインストールを行えるように役立ててください。


目次


1. 正しいドライバーの特定とダウンロード

エラーの原因となるドライバーは、PCのモデルや搭載されているハードウェアによって異なります。主に以下のドライバーが不足している可能性が高いです。

  • チップセットドライバー:マザーボードの各コンポーネント(USBコントローラー、SATAコントローラー、NVMeコントローラーなど)を制御するための基本的なドライバーです。
  • ストレージコントローラードライバー (Intel Rapid Storage Technology / AMD RAID Pre-install Driverなど):特にNVMe SSDを使用している場合に必要となることがあります。RAID構成にしている場合は必須です。
  • USB 3.0/3.1 ドライバー:古いインストールメディアを使用している場合、新しいUSBポートのドライバーが不足していることがあります。

正しいドライバーを特定しダウンロードするには、以下の手順を実行します。

  1. PCメーカーのサポートサイトへアクセス:現在お使いのPCのメーカー(Dell, HP, Lenovo, ASUS, Acerなど)の公式サポートサイトにアクセスします。
  2. PCのモデル名を検索:お使いのPCの正確なモデル名(例:Dell XPS 13 9300, Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 9など)を入力して検索します。
  3. ドライバーのダウンロードセクションへ移動:サポートページ内にある「ドライバーとダウンロード」や「サポート」セクションを探します。
  4. 適切なドライバーの特定とダウンロード
    • お使いのWindowsのバージョン(例:Windows 10 64-bit)を選択します。
    • 「チップセット」「ストレージ」「SATA」「NVMe」「USB」などのカテゴリから、必要なドライバーを探してダウンロードします。多くの場合、「Intel Rapid Storage Technology (IRST) Driver」や「AMD RAID Pre-install Driver」といった名前で見つかります。
    • ダウンロードしたドライバーは、展開された状態(.inf、.sys、.catファイルなどが含まれるフォルダ)で別のUSBメモリに保存してください。ダウンロードしたファイルがインストーラー(.exeファイル)の場合は、別のPCで実行してドライバーファイルを抽出する必要がある場合があります。

ヒント:ドライバーのダウンロードページに「Windowsインストール用」や「F6 Driver」といった記載がある場合は、それが目的のドライバーである可能性が高いです。


2. インストール時のドライバー組み込み手順

正しいドライバーを準備したら、Windowsのインストールプロセス中にそのドライバーを読み込ませる必要があります。

  1. 2つのUSBメモリを準備
    • Windowsのインストールメディアが入ったUSBメモリ。
    • ダウンロードしたドライバーが入った別のUSBメモリ。
  2. 両方のUSBメモリをPCに接続:Windowsのインストールを開始する前に、両方のUSBメモリをPCに接続します。
  3. Windowsインストールを開始:通常通り、WindowsのインストールメディアからPCを起動します。
  4. 「ドライバーの読み込み」を選択
    • Windowsセットアップの「インストールの種類を選んでください」画面で「カスタム:Windowsのみをインストールする」を選択します。
    • ドライブ選択画面で、ドライブが表示されない場合は、右下の「ドライバーの読み込み」をクリックします。
  5. ドライバーファイルの参照:「参照」ボタンをクリックし、ドライバーを保存したUSBメモリ内のフォルダ(.infファイルが含まれる場所)を指定します。
  6. ドライバーの選択とインストール:利用可能なドライバーが表示されたら、それを選択し「次へ」をクリックしてインストールします。
  7. インストールの続行:ドライバーが正常に組み込まれると、ストレージドライブが表示され、Windowsのインストールを続行できるようになります。

3. ドライバーの署名検証について

Windowsは、セキュリティのために署名されたドライバーのみを信頼します。通常、PCメーカーやチップセットメーカーから提供されるドライバーは適切に署名されているため、問題なくインストールできます。

  • 万が一、ドライバーのインストール時に「ドライバーの署名が検証されませんでした」といった警告が表示された場合、そのドライバーはWindowsによって信頼されていない可能性があります。非公式なドライバーや古いドライバーを使用している場合に発生することがあります。
  • 基本的なトラブルシューティングとしては、公式なソースから提供されたドライバーを使用することを強く推奨します。
  • どうしても署名されていないドライバーをインストールする必要がある場合(稀なケース)、Windowsの「ドライバー署名の強制を無効にする」モードで起動することで一時的にインストールできることもありますが、これはセキュリティリスクを伴うため、推奨されません

その他の解決策と注意点

  • BIOS/UEFI設定の確認:PCのBIOS/UEFI設定で、ストレージモードが「AHCI」になっているか確認してください。もし「RAID」モードになっている場合、対応するRAIDドライバーが必要になることがあります。
  • インストールメディアの再作成:使用しているUSBインストールメディアが破損している、または正しく作成されていない可能性があります。別のUSBメモリでWindowsインストールメディアを再作成してみるのも有効な手段です。
  • USBポートの変更:もし可能であれば、別のUSBポート(特にUSB 2.0ポート)にインストールメディアを差し替えて試してみてください。USB 3.0/3.1ポートのドライバーが不足している場合に有効です。

これらの手順を踏むことで、「このデバイスに必要なドライバーがありません」というエラーを解決し、Windowsのインストールを正常に進めることができるでしょう。焦らず、一つ一つの手順を慎重に実行してください。もし不明な点があれば、PCメーカーのサポートに問い合わせることも検討しましょう。