Last Updated on 2025年7月28日
Windowsでファイルのバックアップを取ろうとしたり、逆に以前のバックアップからファイルを復元しようとしたりする際に、突然「エラー:指定されたファイルが見つかりません」というメッセージが表示されて、作業が中断されてしまったことはありませんか? このエラーは、その名の通り、システムが指定されたファイルやディレクトリを見つけられない場合に発生しますが、その原因は単純なものから複雑なものまで多岐にわたります。
特に、バックアップや復元といった重要な作業中にこのエラーが出ると、大切なデータが失われるのではないかと不安になるでしょう。今回は、Windows 11を例に、この「指定されたファイルが見つかりません」エラーが発生する主な原因と、ご自身でできる具体的な解決策について詳しく解説します。ファイルパスの確認や一時フォルダ関連のトラブルシューティング、さらにはシンボリックリンクなどの特殊なケースまで、様々な角度から解決策をご紹介しますので、ぜひ安心してデータの管理を行えるように役立ててください。
目次
- 1. 「エラー:指定されたファイルが見つかりません」とは?
- 2. エラーが発生する主な原因
- 3. まず試すべき!基本的な対処法
- 4. Windows 11で試す!より詳細なトラブル解決法
- 5. それでも解決しない場合の最終手段
1. 「エラー:指定されたファイルが見つかりません」とは?
「エラー:指定されたファイルが見つかりません(Error: The system cannot find the file specified)」は、Windowsの様々な操作中に表示される一般的なエラーメッセージです。特に、バックアップソフトウェアやWindowsの復元機能を使用している際に、バックアップ対象のファイルや復元先のファイル、あるいはバックアップデータ自体が見つからない場合に発生します。
このエラーは、必ずしも対象のファイルが「存在しない」ことを意味するわけではありません。ファイルが存在していても、そのファイルへのパスが間違っている、ファイル名が変更されている、アクセス権がない、ファイルが破損している、あるいはシステムが一時的に認識できない状態にある、といった様々な状況で表示される可能性があります。
2. エラーが発生する主な原因
「指定されたファイルが見つかりません」エラーが発生する原因は多岐にわたりますが、主なものとしては以下の点が挙げられます。
- ファイルパスまたはファイル名の誤り:
最も単純な原因です。ファイルパス(フォルダの場所)が間違っている、ファイル名が正確でない(スペルミス、大文字・小文字の違い、拡張子の欠落など)、またはファイルが移動・削除されている。
- 一時ファイルの破損または問題:
バックアップや復元プロセスで一時ファイルが作成されますが、これらが破損したり、クリーンアップされたりした場合にエラーが発生することがあります。
- ロングパス問題:
Windowsの古いバージョンでは、ファイルパスの長さが260文字を超える場合に問題が発生することがありました。Windows 11では改善されていますが、一部の古いソフトウェアや特定の環境ではまだ影響を受ける可能性があります。
- アクセス権(パーミッション)の不足:
ファイルやフォルダに対して、アクセス権限がないためにシステムが読み取れない。
- 隠しファイル/システムファイルの問題:
バックアップ対象のファイルが隠しファイルやシステムファイルであり、設定により表示されていない、あるいはアクセスが制限されている。
- シンボリックリンクやジャンクションの問題:
Windowsが特定のフォルダやファイルへのリンク(シンボリックリンク、ジャンクションなど)を正しく解決できない場合。
- ストレージデバイスの問題:
バックアップ元またはバックアップ先のストレージデバイスに物理的なエラー(不良セクタ)や論理的な破損がある。
- システムファイルの破損:
Windowsのシステムファイル自体が破損しており、ファイルシステムへのアクセスに問題が生じている。
- ウイルスやマルウェアの感染:
悪意のあるプログラムがファイルを隠蔽したり、破損させたりする。
- バックアップソフトウェアの不具合:
使用しているバックアップソフトウェア自体のバグや互換性の問題。
3. まず試すべき!基本的な対処法
「指定されたファイルが見つかりません」エラーが発生したら、まずは以下の簡単な対処法から試してみましょう。多くの場合、これらの基本的な手順で問題が解決することがあります。
3-1. PCを再起動する
PCの一時的な不具合やシステムキャッシュの問題が原因の場合、再起動するだけで解決することがよくあります。一時的なファイルのロックやシステムリソースの競合が解消される可能性があります。
3-2. ファイルパスとファイル名を正確に確認する
エラーメッセージに表示されているファイルパスとファイル名を、文字通り一文字ずつ確認してください。
- スペルミスがないか?
- 大文字と小文字が正確か?(Windowsは通常大文字・小文字を区別しませんが、ネットワーク共有やLinuxシステムなどでは区別する場合があります)
- 拡張子が正しいか、または欠落していないか?
- フォルダ名が正確か?
可能であれば、エクスプローラーから目的のファイルがある場所まで手動でアクセスし、ファイル名やフォルダ名をコピー&ペーストして、間違いがないことを確認しましょう。
3-3. バックアップソフトウェアを再起動する/再インストールする
使用しているバックアップソフトウェア自体に一時的な不具合がある可能性があります。ソフトウェアを一度終了して再起動してみましょう。それでも改善しない場合は、最新バージョンにアップデートするか、一度アンインストールしてから再インストールを試すことも有効です。
4. Windows 11で試す!より詳細なトラブル解決法
基本的な対処法で改善しない場合は、より詳細なトラブルシューティングを行っていきましょう。ファイルシステムやWindowsの設定に起因する問題を解決します。
4-1. 正しいファイルパスとファイル名を確認する
これは基本中の基本ですが、見落としがちです。特に、バックアップ対象に指定したファイルやフォルダが、移動されたり、名前が変更されたり、削除されたりしていないか確認します。
- バックアップ対象のフォルダやファイルが、本当に指定したパスに存在するか、エクスプローラーで手動で確認してください。
- ネットワークドライブ上のファイルの場合、そのネットワークドライブが正しくマッピングされ、アクセス可能か確認します。
4-2. 一時フォルダ(Tempファイル)の問題を解決する
バックアップや復元プロセスでは、一時ファイル(Tempファイル)が生成されることがあります。この一時フォルダに問題がある場合、エラーが発生することがあります。一時フォルダをクリーンアップしてみましょう。
- Windowsの検索バーに「ディスククリーンアップ」と入力し、起動します。
- クリーンアップしたいドライブ(通常はC:ドライブ)を選択し、「OK」をクリックします。
- 「削除するファイル」の一覧から「一時ファイル」(または「Temporary files」)の項目にチェックを入れます。必要に応じて他の不要なファイルにもチェックを入れ、「OK」→「ファイルの削除」をクリックします。
- 手動で一時フォルダを削除する(上級者向け):
ディスククリーンアップで削除されない一時ファイルがある場合、手動で削除することも可能です。
- Windowsの検索バーに
%temp%と入力してEnterキーを押します。一時フォルダが開きます。 - 開いたフォルダ内のすべてのファイルとフォルダを選択し、削除します。一部のファイルは使用中のため削除できないことがありますが、無視して構いません。
- Windowsの検索バーに
- PCを再起動し、再度バックアップ/復元を試します。
4-3. 隠しファイルとシステムファイルを表示する
バックアップ対象のファイルが、Windowsの隠しファイルやシステムファイルである場合、表示設定によっては見えず、エラーの原因となることがあります。これらを表示するように設定を変更してみましょう。
- エクスプローラーを開きます。
- 上部のメニューから「表示」タブをクリックし、「表示」→「隠しファイル」にチェックを入れます。
- さらに「表示」タブの「オプション」(または「フォルダーオプション」)をクリックし、「表示」タブを選択します。
- 「詳細設定」の一覧から「保護されたオペレーティングシステムファイルを表示しない(推奨)」のチェックを外します。警告が表示されたら「はい」をクリックします。
- 「適用」→「OK」をクリックし、目的のファイルが見えるようになるか確認します。
4-4. ファイルやフォルダのアクセス権(パーミッション)を確認する
ファイルやフォルダにアクセスするための適切な権限がない場合、システムはファイルを見つけられず、エラーを返すことがあります。特に、復元先のフォルダや、ネットワーク上のファイルで発生しやすい問題です。
- 問題のファイルまたはフォルダを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「セキュリティ」タブをクリックします。
- 「グループ名またはユーザー名」の一覧で、現在ログオンしているユーザーアカウントまたは「Administrators」(管理者)グループがあるか確認します。
- 目的のユーザーを選択し、下部の「アクセス許可」で「読み取り」および「書き込み」(復元の場合)の「許可」にチェックが入っているか確認します。
- もし権限がない場合、「編集」をクリックし、該当ユーザーにアクセス許可を与えます。必要であれば、「追加」からユーザーアカウントを追加し、フルコントロールの権限を与えてみましょう。
4-5. シンボリックリンクやジャンクションの問題を確認する
Windowsでは、特定のフォルダやファイルを別の場所に「リンク」する機能(シンボリックリンク、ジャンクション、ハードリンクなど)があります。バックアップソフトウェアによっては、これらのリンクを正しく扱えない場合に「ファイルが見つかりません」エラーを出すことがあります。
- バックアップ対象にシンボリックリンクやジャンクションが含まれていないか確認します。特に、ユーザープロファイル内の一部のフォルダ(「マイ ドキュメント」など)は、Windowsのバージョンアップで内部的なリンク構造が変わることがあります。
- 可能であれば、リンクの元となる実際のフォルダを直接バックアップ対象に指定するか、リンクを一時的にバックアップ対象から除外して試します。
4-6. ストレージデバイスのエラーを確認・修復する
バックアップ元またはバックアップ先のストレージデバイスに物理的なエラー(不良セクタ)や論理的な破損がある場合、ファイルが読み取れないことがあります。CHKDSK(チェックディスク)コマンドを実行して、ストレージの状態を確認し、修復を試みましょう。
- Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します(例: エラーが出ているドライブがD:の場合)。
chkdsk D: /f /rD:: エラーが出ているドライブレターを指定します。/f: ディスク上のエラーを修正します。/r: 不良セクタを特定し、読み取り可能な情報を回復します。
- 対象がC:ドライブの場合、次回のPC起動時にCHKDSKが実行されるようスケジュールするかどうか尋ねられます。
Yを入力してEnterを押し、PCを再起動します。 - CHKDSKの実行には時間がかかります。完了後、エラーが解消されたか確認します。
4-7. システムファイルチェッカーを実行する
Windowsの重要なシステムファイルが破損していると、ファイルシステムへのアクセスやバックアップ・復元プロセスに影響が出ることがあります。システムファイルチェッカー(SFC)ツールは、破損したシステムファイルを検出して修復するのに役立ちます。
- Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
sfc /scannow - スキャンが完了するまで待ちます。完了後、問題が検出されて修復されたかどうかのメッセージが表示されます。
- PCを再起動し、エラーが解消されるか確認します。
4-8. ウイルスやマルウェアのスキャン
悪意のあるプログラムがファイルを隠蔽したり、破損させたり、システムプロセスを妨害したりしている可能性があります。Windows Defenderや信頼できるセキュリティソフトでフルスキャンを実行し、検出された脅威を駆除しましょう。
5. それでも解決しない場合の最終手段
上記の対策をすべて試してもエラーが解決しない場合、より深刻な問題が考えられます。以下の最終手段を検討してください。
- 別のバックアップ/復元ソフトウェアを試す:
もし特定のソフトウェアでエラーが発生している場合、そのソフトウェア自体のバグや互換性の問題が原因かもしれません。別の信頼できるバックアップソフトウェア(例: Veeam Agent for Microsoft Windows Free、AOMEI Backupper Standardなど)を試してみましょう。
- セーフモードでバックアップ/復元を試す:
他のアプリケーションやドライバーがバックアップ/復元プロセスを妨害している可能性もあります。セーフモードで起動し、必要最小限の環境で作業を試してみましょう。
- Windowsの初期化(リセット)またはクリーンインストール:
すべてのソフトウェア的な問題を排除するための最終手段です。これにより、システム内の破損や競合が全て解消される可能性があります。必ず事前に重要なデータのバックアップを可能な限り行ってください。
- 専門家への相談:
これらの手順を試しても解決しない場合や、自力での対処が難しいと感じた場合は、PC修理業者やデータ復旧の専門家に相談することを強く推奨します。特に、ストレージデバイスの物理的な故障が疑われる場合は、無理な操作を続けるとデータが完全に失われる危険性があります。
まとめ
「エラー:指定されたファイルが見つかりません」は、バックアップや復元時に遭遇すると非常に厄介なエラーですが、原因は様々です。まずはファイルパスとファイル名の正確な確認から始め、次に一時フォルダのクリーンアップや隠しファイルの表示設定変更といった基本的な対処法を試しましょう。
それでも解決しない場合は、アクセス権の確認、シンボリックリンクの考慮、そしてストレージデバイスやシステムファイルの健全性チェック(CHKDSKやSFC)を行うことで、多くの問題は解決できるはずです。日頃からPCのメンテナンスを心がけ、大切なデータのバックアップをこまめに行うことで、このようなトラブルに冷静に対処できるようになります。もし自力での解決が難しいと感じた場合は、無理をせず専門家のサポートを求めることも検討しましょう。安全で確実なデータ管理のために、この記事が役立つことを願っています。


