Last Updated on 2025年7月28日
PCを毎日使っていると、突然動作が重くなったり、アプリケーションの起動や切り替えに時間がかかったりすることがあります。ゲーム中や動画編集中にカクつく、ただWebサイトを見ているだけでも動作がもたつくなど、その症状はさまざまです。このようなPCのパフォーマンス低下は、目に見えないところで動いているバックグラウンドプロセスが原因となっているケースが非常に多くあります。
バックグラウンドプロセスとは、現在アクティブに使っていないにも関わらず、Windowsの裏側で動作し続けているプログラムやサービスのことです。これらがPCのリソース(CPU、メモリ、ディスク)を消費することで、PC全体の動作が重くなってしまいます。本記事では、PCが重くなる原因となるバックグラウンドプロセスを特定し、その対策を行う具体的な方法を解説します。タスクマネージャーでの高負荷プロセスの特定や、スタートアップアプリの無効化など、効果的な解決策をご紹介しますので、ぜひ快適なPC環境を取り戻すために役立ててください。
目次
- 1. PCが重いと感じる主な原因
- 2. タスクマネージャーで高負荷プロセスを特定する
- 3. 不要なスタートアップアプリを無効化する
- 4. バックグラウンドアプリの設定を確認する
- 5. Windowsのシステムメンテナンス
- 6. その他の対策と注意点
1. PCが重いと感じる主な原因
PCの動作が重くなる原因は多岐にわたりますが、バックグラウンドプロセス以外にも以下の要素が複合的に影響していることがあります。
- リソースの枯渇: CPU、メモリ、ストレージ(HDD/SSD)のいずれかが高負荷状態にある場合。特にメモリ不足は、PCが「ページファイル」(仮想メモリ)を頻繁に使用することになり、ディスクアクセスが増えて動作が遅くなります。
- ストレージのパフォーマンス低下: HDDの断片化(SSDでは発生しない)、容量不足、または故障の兆候。
- ドライバーの問題: ハードウェアドライバーの不具合や古さがパフォーマンスに影響を与えることがあります。
- ウイルスやマルウェア感染: 不審なプログラムがバックグラウンドでリソースを消費している場合。
- Windowsのシステム破損: システムファイルが破損していると、PC全体の安定性やパフォーマンスが低下します。
- 古すぎるハードウェア: 最新のソフトウェアやOSの要求スペックに対して、PCのハードウェアが追いついていない場合。
まずは、最も可能性の高いバックグラウンドプロセスの確認から始めましょう。
2. タスクマネージャーで高負荷プロセスを特定する
PCの動作が重いと感じたら、まずタスクマネージャーを開いて、どのプロセスがCPU、メモリ、ディスクなどのリソースを多く消費しているかを確認することが重要です。タスクマネージャーは、Ctrl + Shift + Escキーを同時に押すか、タスクバーを右クリックして「タスクマネージャー」を選択することで開けます。
タスクマネージャーを開いたら、「プロセス」タブに注目してください。ここで、各リソースの使用率が高いプロセスを特定します。
2-1. CPUの使用率を確認する
「CPU」の列をクリックして、使用率が高い順に並べ替えます。常に高いCPU使用率を示しているプロセスがあれば、それがPCを重くしている原因の一つである可能性があります。
- 確認点:
- ゲームや動画編集ソフトなど、意図的にCPUを使うアプリケーションが高負荷なのは正常です。
- しかし、何もしていないのに「Microsoft Edge」「Google Chrome」などのブラウザ、あるいは見慣れないプロセスが常に高いCPUを消費している場合は注意が必要です。
- 「Windows Modules Installer Worker」「Service Host: Local System」などが一時的に高負荷になることがありますが、これはWindows Updateなどによるもので、通常は時間が経てば収まります。常に高い場合は問題がある可能性があります。
- 対策:
- 不要な高負荷プロセスは、選択して右下の「タスクの終了」をクリックします。ただし、「Windows プロセス」や「バックグラウンド プロセス」内の見慣れないプロセスを強制終了する際は、システムに影響を与えないか慎重に判断してください。不安な場合は、そのプロセス名をインターネットで検索して情報を確認しましょう。
2-2. メモリの使用量を確認する
「メモリ」の列をクリックして、使用量が高い順に並べ替えます。メモリ使用量が常に高止まりしている場合、メモリ不足が動作を遅くしている原因かもしれません。
- 確認点:
- Webブラウザ(特に多くのタブを開いている場合)、画像編集ソフト、仮想マシンソフトなどは大量のメモリを消費しがちです。
- 「System」「Service Host」など、Windows関連のプロセスが高すぎるメモリを消費している場合は、システムの問題が考えられます。
- 対策:
- 不要なアプリケーションや、使用していないブラウザのタブを閉じます。
- メモリを多く消費するアプリケーションの使用を控えめにするか、PCのメモリ増設を検討します。
2-3. ディスクの使用率を確認する
「ディスク」の列をクリックして、使用率が高い順に並べ替えます。ディスク使用率が常に100%に近い状態になっている場合、ストレージがボトルネックになっている可能性があります。
- 確認点:
- Windows Update、ウイルススキャン、大容量ファイルのコピー・移動などが一時的にディスク使用率を高くすることがあります。
- しかし、何もしていないのにディスク使用率が高い状態が続く場合、「Superfetch / SysMain」「Windows Search」「Windows Defender」などが原因となることがあります。
- 対策:
- Superfetch / SysMainの無効化(HDDの場合): サービス管理ツールから「SysMain」サービスを無効にすることで改善することがあります。ただし、SSDではパフォーマンスが低下する可能性があるため推奨されません。
- Windows Searchのインデックス再構築: 検索インデックスが破損している場合にディスク負荷が高まることがあります。
- 一時ファイルの削除: ディスククリーンアップを実行して不要なファイルを削除します。
- HDDのデフラグ(HDDの場合): 定期的なデフラグでディスクアクセスを最適化します(SSDには不要です)。
- SSDへの換装: もしHDDを使用している場合、SSDへの換装は劇的なパフォーマンス改善が期待できます。
3. 不要なスタートアップアプリを無効化する
PCの起動時に自動的に実行されるスタートアップアプリが多いと、起動が遅くなるだけでなく、バックグラウンドでリソースを消費し続ける原因となります。タスクマネージャーの「スタートアップ」タブで確認し、不要なものを無効化しましょう。
- タスクマネージャーを開き、「スタートアップ」タブをクリックします。
- 各アプリの「スタートアップへの影響」を確認します。影響が大きいアプリや、普段ほとんど使わないアプリを特定します。
- 無効にしたいアプリを右クリックし、「無効化」を選択します。
- 変更を適用するために、PCを再起動します。
注意:セキュリティソフトや重要なシステムツールは無効化しないようにしましょう。判断に迷う場合は、そのアプリ名を検索して情報を確認してください。
4. バックグラウンドアプリの設定を確認する
Windowsには、ユーザーが意識しないうちにバックグラウンドで情報を送受信したり、更新したりする「バックグラウンドアプリ」機能があります。これがPCを重くしている可能性もあります。
- 「スタート」メニューから「設定」を開き、「プライバシーとセキュリティ」→「バックグラウンドアプリ」へ進みます。(Windows 10の場合は「プライバシー」→「バックグラウンドアプリ」)
- 「アプリがバックグラウンドで実行できるようにする」の全体設定をオフにするか、個々のアプリに対してオフに切り替えることができます。
- 普段使わないアプリや、バックグラウンドでの動作が不要なアプリはオフに設定しましょう。
5. Windowsのシステムメンテナンス
定期的なシステムメンテナンスも、PCの動作を軽快に保つために非常に重要です。
5-1. ディスククリーンアップとストレージセンサー
不要な一時ファイルやシステムファイルがストレージを圧迫し、パフォーマンス低下の原因となることがあります。
- ディスククリーンアップ: Windowsの検索バーに「ディスククリーンアップ」と入力し、起動します。システムドライブを選択し、「システムファイルのクリーンアップ」も実行して、不要なファイルを削除しましょう。
- ストレージセンサー: 「設定」→「システム」→「ストレージ」からストレージセンサーをオンにすると、一時ファイルなどを自動的に削除してくれます。
5-2. Windows Updateの確認
Windowsの更新プログラムには、パフォーマンスの改善やバグ修正が含まれていることがあります。最新の状態に保つことで、PCが安定し、軽快に動作する場合があります。
- 「スタート」メニューから「設定」を開き、「Windows Update」へ進みます。
- 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新があればインストールします。
5-3. ドライバーの更新
グラフィックドライバー、チップセットドライバー、ネットワークドライバーなどが古いと、システムのパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。PCメーカーの公式サイトや各ハードウェアメーカーのサイトから最新のドライバーをダウンロードし、適用しましょう。
5-4. ウイルス・マルウェアのスキャン
ウイルスやマルウェアがPCのバックグラウンドで不正な活動を行い、リソースを大量に消費している可能性があります。Windows Defenderや信頼できるセキュリティソフトでフルスキャンを実行し、検出された脅威を駆除しましょう。
6. その他の対策と注意点
- 視覚効果の調整: 「システムのプロパティ」の「パフォーマンスオプション」から、視覚効果を「パフォーマンスを優先する」に設定すると、見た目は簡素になりますが、動作が軽くなることがあります。
- 電源プランの変更: ノートPCの場合、省電力モードになっているとパフォーマンスが制限されることがあります。電源プランを「バランス」や「高パフォーマンス」に設定してみましょう。
- PCの冷却: PC内部の温度が上がりすぎると、CPUなどが自動的に性能を落として(サーマルスロットリング)動作が重くなることがあります。PC内部の清掃や、冷却ファンが正常に動作しているか確認しましょう。
- ハードウェアのアップグレード: 上記のソフトウェア的な対策をすべて試しても改善しない場合、PCのハードウェア自体が現在の使用状況に追いついていない可能性があります。メモリ増設、SSDへの換装、CPUのアップグレードなどを検討してください。
まとめ
PCの動作が重いと感じた場合、まずはタスクマネージャーを活用して、どのバックグラウンドプロセスがリソースを消費しているのかを特定することが解決への第一歩です。その後、スタートアップアプリの整理やバックグラウンドアプリの設定変更、さらには定期的なシステムメンテナンスを行うことで、PCのパフォーマンスを大幅に改善できる可能性があります。
これらの手順を段階的に実行することで、PCを快適に使えるようになるでしょう。もしご自身のPCのスペックに対してパフォーマンスの改善が頭打ちになった場合は、ハードウェアのアップグレードも検討してみてください。快適なPC環境は、作業効率向上にもつながります。


