Last Updated on 2025年7月28日
Windows 10やWindows 11を使っていると、特定のアプリケーションだけが起動しなかったり、起動した直後や使用中に突然強制終了してしまったりする問題に遭遇することがあります。他のアプリは問題なく動作するのに、なぜかそのアプリだけが使えないとなると、作業に大きな支障をきたし、非常に困惑するでしょう。
この問題は、アプリ自体の破損、システムとの互換性、セキュリティ設定、ドライバーの問題など、さまざまな原因で発生します。本記事では、特定のアプリが起動しない、または強制終了する場合の具体的なトラブルシューティング方法を解説します。アプリの再インストール、互換性設定の変更、DEP(データ実行防止)の有効化・無効化など、段階的に試せる効果的な対処法をご紹介しますので、ぜひ問題を解決し、再びアプリを快適に使えるように役立ててください。
目次
- 1. 特定のアプリが起動しない・強制終了する主な原因
- 2. まず試すべき基本的な対処法
- 3. アプリの修復、リセット、または再インストール
- 4. アプリケーションの互換性設定を変更する
- 5. データ実行防止 (DEP) の設定を確認・変更する
- 6. その他の解決策
1. 特定のアプリが起動しない・強制終了する主な原因
特定のアプリケーションだけが正常に動作しない場合、以下のような原因が考えられます。
- アプリファイルの破損: アプリケーションのインストールファイルや実行ファイル自体が破損している。
- Windowsとの互換性問題: アプリケーションが現在のWindowsのバージョンや更新プログラムと完全に互換性がない。特に古いアプリでよく見られます。
- DEP(データ実行防止)によるブロック: セキュリティ機能であるDEPが、アプリの実行を悪意のあるコードと誤認してブロックしている。
- ドライバーの問題: アプリケーションが使用するハードウェア(グラフィックカード、サウンドカードなど)のドライバーが古い、または破損している。
- セキュリティソフトとの競合: ウイルス対策ソフトやファイアウォールが、アプリの動作を誤ってブロックしている。
- ユーザープロファイルの破損: 特定のユーザーアカウントのプロファイルデータが破損しているために、そのアカウントでのみアプリが起動しない。
- システムの破損: Windowsのシステムファイルの一部が破損している場合。
2. まず試すべき基本的な対処法
アプリのトラブルに遭遇したら、まずは以下の基本的な対処法から試してみましょう。意外とシンプルな方法で解決することがあります。
2-1. PCの再起動
PCの一時的な不具合やシステムリソースの競合が原因の場合、再起動するだけで解決することがよくあります。バックグラウンドで実行されているプロセスがアプリの起動を妨げている可能性も解消されます。
2-2. アプリの再起動
もしアプリが起動してもすぐに落ちる場合、一度タスクマネージャーからアプリのプロセスを完全に終了させてから、再度起動を試みてください。
- Ctrl + Shift + Escキーを同時に押してタスクマネージャーを開きます。
- 「プロセス」タブで、問題のアプリを探します。
- アプリを選択し、右下の「タスクの終了」をクリックします。
- その後、再度アプリを起動してみます。
2-3. Windows Updateの確認
Windowsやアプリに関する問題は、Windows Updateによって修正されることがあります。最新の更新プログラムが適用されているか確認し、未適用であれば更新を実行してみましょう。
- 「スタート」メニューから「設定」を開き、「Windows Update」へ進みます。
- 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新があればインストールします。
- 更新完了後、PCを再起動します。
3. アプリの修復、リセット、または再インストール
アプリのファイル自体に問題がある場合、そのアプリを修復、リセット、または完全に再インストールすることで問題が解決することが多いです。
- 「スタート」メニューから「設定」を開き、「アプリ」→「インストールされているアプリ」(または「アプリと機能」)へ進みます。
- アプリの一覧から、問題のアプリを探します。
- アプリの項目を右クリックするか、クリックして表示される「…」メニューから「詳細オプション」を選択します。(デスクトップアプリの場合は「変更」または「アンインストール」になることがあります。)
- 修復(Windows Storeアプリの場合): 「修復」ボタンがあれば、これをクリックします。アプリのデータを保持したまま、破損したファイルを修正します。
- リセット(Windows Storeアプリの場合): 「リセット」ボタンがあれば、これをクリックします。アプリのデータ(設定やログイン情報など)が削除され、アプリが初期状態に戻ります。
- アンインストールと再インストール(デスクトップアプリ/Windows Storeアプリ): 上記で解決しない場合、またはオプションがない場合は「アンインストール」をクリックしてアプリを削除します。その後、公式ウェブサイトやMicrosoft Storeから最新版をダウンロードして再インストールします。
- 操作完了後、PCを再起動し、アプリが正常に起動するか確認します。
4. アプリケーションの互換性設定を変更する
特に古いアプリケーションの場合、現在のWindowsバージョンとの互換性の問題で起動しないことがあります。互換性設定を変更することで、Windowsがアプリを古いバージョン向けに動作させようと試みます。
- 問題のアプリのショートカットアイコン(または実行ファイル本体)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「互換性」タブをクリックします。
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェックを入れ、ドロップダウンメニューからアプリが動作していたと思われるWindowsのバージョン(例: Windows 8, Windows 7など)を選択します。
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にもチェックを入れると、権限の問題で起動しないケースに対応できる場合があります。
- 「適用」→「OK」をクリックし、アプリを再度起動して動作を確認します。
5. データ実行防止 (DEP) の設定を確認・変更する
DEP(Data Execution Prevention)は、悪意のあるコードの実行を防ぐためのWindowsのセキュリティ機能ですが、ごく稀に正規のアプリケーションの動作を誤ってブロックしてしまうことがあります。特定のアプリにのみ問題が発生する場合、DEPの設定を確認・変更することで解決する可能性があります。
- Windowsの検索バーに「システムのプロパティ」と入力し、表示されたアプリを開きます。
- 「詳細設定」タブをクリックし、「パフォーマンス」セクションの「設定」ボタンをクリックします。
- 「パフォーマンスオプション」ウィンドウで「データ実行防止」タブをクリックします。
- 以下のいずれかの設定を試します。
- 「すべてのプログラムおよびサービスについて DEP を有効にする (Windows の基本サービスを除く)」が選択されている場合:
- 「次に選択するプログラムおよびサービスについてのみ DEP を有効にする」を選択し、問題のアプリを「追加」ボタンで例外として登録します。
- 「次に選択するプログラムおよびサービスについてのみ DEP を有効にする」が選択されている場合:
- 問題のアプリがリストにないか確認します。もしリストにあり、有効になっている場合は、そのアプリを選択して「削除」します。
- または、一時的に「すべてのプログラムおよびサービスについて DEP を有効にする (Windows の基本サービスを除く)」に戻してみて、問題が解決するか確認することもできます(推奨されませんが、トラブルシューティングのため)。
- 「すべてのプログラムおよびサービスについて DEP を有効にする (Windows の基本サービスを除く)」が選択されている場合:
- 「適用」→「OK」をクリックし、PCを再起動してアプリが正常に起動するか確認します。
注意:DEPの変更はセキュリティに関わるため、必要最小限の変更に留め、問題解決後は可能な限り元の設定に戻すことを検討してください。
6. その他の解決策
上記の主要な対処法で解決しない場合、以下の点を追加で確認してみましょう。
6-1. ドライバーの更新
アプリが特定のハードウェア(グラフィックカード、サウンドカード、コントローラーなど)を使用している場合、そのハードウェアのドライバーが古いまたは破損していることが原因でアプリがクラッシュすることがあります。特にゲームやデザイン系のアプリで多い問題です。
- デバイスマネージャーを開き、関連するデバイス(例:ディスプレイアダプター)のドライバーを更新するか、PCメーカーまたはハードウェアメーカーのウェブサイトから最新のドライバーをダウンロードしてインストールします。
6-2. セキュリティソフト・ファイアウォールの確認
ご使用のウイルス対策ソフトやWindows Defender ファイアウォールが、誤ってアプリの実行をブロックしている可能性があります。一時的にこれらのセキュリティ機能を無効にして、アプリが起動するかどうかを確認してください。
- 問題が解決する場合は、セキュリティソフトの設定で問題のアプリを例外として許可するか、別のセキュリティソフトの使用を検討しましょう。
6-3. システムファイルチェッカー (SFC) の実行
Windowsの重要なシステムファイルが破損していると、アプリの起動に影響が出ることがあります。システムファイルチェッカー(SFC)ツールは、破損したシステムファイルを検出して修復するのに役立ちます。
- Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
- コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
sfc /scannow - スキャンが完了するまで待ちます。完了後、PCを再起動し、アプリが正常に起動するか確認します。
6-4. 新しいユーザープロファイルでの確認
稀に、現在のWindowsユーザープロファイルが破損しているために、特定のアプリが正常に動作しないことがあります。新しいユーザーアカウントを作成し、そのアカウントでアプリが正常に動作するか確認してみてください。
- 「スタート」メニューから「設定」を開き、「アカウント」→「家族とその他のユーザー」へ進みます。
- 「その他のユーザー」セクションで「アカウントの追加」をクリックし、画面の指示に従って新しいローカルアカウントを作成します。
- 新しいアカウントでWindowsにサインインし、問題のアプリが正常に起動するか確認します。
新しいアカウントで問題なくアプリが動作する場合、元のユーザープロファイルの破損が考えられます。その場合、新しいアカウントへデータを移行することを検討する必要があります。
まとめ
Windows 10/11で特定のアプリが起動しない、または強制終了する場合でも、諦める必要はありません。まずはアプリの再起動や再インストールから始め、次に互換性設定の調整やDEPの確認といった専門的な対処法を試すことで、多くの問題は解決可能です。
それでも改善しない場合は、ドライバーの更新、セキュリティソフトの設定、システムファイルの健全性チェックなども行い、考えられる原因を一つずつ排除していくことが重要です。これらの手順を段階的に実行することで、再びお気に入りのアプリを快適に利用できるようになるでしょう。もし自力での解決が難しいと感じた場合は、アプリのサポート情報やPCメーカーに問い合わせることも検討してください。


