「Windows Defenderが有効になりません」セキュリティ機能の復旧手順

Last Updated on 2025年7月28日

Windowsを利用する上で、セキュリティ対策は非常に重要です。標準搭載されているWindows Defender(Windows セキュリティ)は、ウイルスやマルウェアからPCを保護するための重要な役割を担っています。しかし、ある日突然Windows Defenderが「有効になりません」と表示されたり、リアルタイム保護がオフになってしまったりして、セキュリティ機能が正常に動作しなくなることがあります。

このような状況では、PCが外部の脅威にさらされるリスクが高まり、非常に不安を感じるでしょう。この問題は、サービスの停止、設定の不整合、他のセキュリティソフトウェアとの競合、またはマルウェア感染など、さまざまな原因で発生します。本記事では、「Windows Defenderが有効になりません」という問題に直面した際の具体的な復旧手順を解説します。関連サービスの確認グループポリシーエディタでの設定変更、さらにはマルウェアスキャンなど、段階的に試せる効果的な対処法をご紹介しますので、ぜひWindows Defenderを復旧させ、安全なPC環境を取り戻すために役立ててください。


目次


1. Windows Defenderが有効にならない主な原因

Windows Defenderが「有効になりません」と表示される主な原因は以下の通りです。

  • 他のセキュリティソフトウェアとの競合: 過去にインストールした、または現在インストールされている別のウイルス対策ソフトがWindows Defenderの機能を停止させている。これは意図的な動作です。
  • Windows Defender関連サービスの停止: Windows Defenderの機能に必須のサービス(例: Microsoft Defender Antivirus Service)が停止している。
  • グループポリシーやレジストリ設定の変更: 誤った設定変更や、マルウェアによってWindows Defenderが無効化されている。
  • システムファイルの破損: Windows Defenderに関連するシステムファイルが破損している。
  • マルウェア感染: 悪質なマルウェアがWindows Defenderの機能を妨害している。
  • Windows Updateの問題: Windows Updateの失敗や不完全な適用がDefenderの動作に影響を与えている。

2. まず試すべき基本的な対処法

Windows Defenderのトラブルに遭遇したら、まずは以下の基本的な対処法から試してみましょう。

2-1. PCの再起動

PCの一時的な不具合やシステムリソースの競合が原因の場合、再起動するだけで解決することがよくあります。一時的なサービスの読み込みエラーなどが解消される可能性があります。

2-2. Windows Updateの確認

WindowsやWindows Defenderに関する問題は、Windows Updateによって修正されることがあります。最新の更新プログラムが適用されているか確認し、未適用であれば更新を実行してみましょう。

  1. 「スタート」メニューから「設定」を開き、「Windows Update」へ進みます。
  2. 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新があればインストールします。
  3. 更新完了後、PCを再起動します。

2-3. 他のセキュリティソフトの確認とアンインストール

これは最もよくある原因の一つです。他のウイルス対策ソフト(例: Norton, McAfee, ESETなど)がインストールされている場合、Windows Defenderは自動的に無効になります。これは、複数のセキュリティソフトが競合してシステムに問題を引き起こすのを防ぐためです。

  1. 「スタート」メニューから「設定」を開き、「アプリ」→「インストールされているアプリ」(または「アプリと機能」)へ進みます。
  2. インストールされているアプリの一覧から、他のセキュリティソフトを探します。
  3. もし見覚えのないセキュリティソフトや、以前インストールして今は使っていないソフトがあれば、それを選択して「アンインストール」します。
  4. アンインストール後、PCを再起動し、Windows Defenderが有効になるか確認します。

3. Windows Defender関連サービスの状態確認と再起動

Windows Defenderの機能は、複数のサービスに依存しています。これらのサービスが停止している、または正しく動作していないと、Windows Defenderが有効になりません。サービスの状態を確認し、必要に応じて再起動しましょう。

  1. 「サービス」の起動:Windowsの検索バーに「サービス」と入力し、「サービス」デスクトップアプリを開きます。
  2. 以下のサービスを探し、それぞれ「状態」が「実行中」「スタートアップの種類」が「自動」になっているか確認します。
    • Microsoft Defender Antivirus Service(旧 Windows Defender Antivirus Service)
    • Microsoft Defender Antivirus Network Inspection Service
    • Microsoft Defender Firewall(Windows Defender ファイアウォールサービス)
    • Security Center(セキュリティセンター)
  3. もし「実行中」になっていない場合は、サービス名を右クリックし、「開始」を選択します。
  4. すでに「実行中」の場合でも、一度「再起動」を試すことで問題が解消されることがあります。右クリックして「再起動」を選択してください。
  5. 「スタートアップの種類」が「自動」以外になっている場合は、サービスを右クリックして「プロパティ」を選択し、「スタートアップの種類」を「自動」に設定して「適用」→「OK」をクリックします。

これらのサービスの状態を確認・修正したら、Windowsセキュリティセンターを開いてDefenderが有効になるか確認します。


4. グループポリシーエディタ(Gpedit.msc)での設定変更

Windows Defenderがグループポリシーによって無効化されている可能性があります。これは特に企業環境のPCや、過去に何らかのツールを使って設定を変更した場合に発生します。(Windows 10 Homeエディションにはグループポリシーエディタは標準で搭載されていません。その場合は次のレジストリエディタでの変更を試してください。)

  1. Windowsの検索バーに「gpedit.msc」と入力し、「ローカル グループ ポリシー エディター」を開きます。
  2. 左側のペインで、以下のパスをたどります。
    コンピューターの構成管理用テンプレートWindows コンポーネントMicrosoft Defender ウイルス対策
  3. 右側のペインで、「Microsoft Defender ウイルス対策を無効にする」をダブルクリックします。
  4. 設定ウィンドウが開いたら、「未構成」または「無効」を選択し、「適用」→「OK」をクリックします。
  5. 続いて、同じ「Microsoft Defender ウイルス対策」の項目内で、リアルタイム保護 を開きます。
  6. 「リアルタイム保護をオフにする」をダブルクリックし、「未構成」または「無効」を選択して「適用」→「OK」をクリックします。
  7. 変更を適用するために、PCを再起動します。

5. レジストリエディタでの設定変更

グループポリシーエディタが利用できないHomeエディションのWindowsや、グループポリシーでの変更でも解決しない場合、レジストリエディタを直接操作してWindows Defenderの設定を変更します。レジストリの変更は慎重に行う必要があります。誤った変更はシステムに深刻な問題を引き起こす可能性があるため、事前にレジストリのバックアップを取ることを強く推奨します。

  1. Windowsの検索バーに「regedit」と入力し、「レジストリエディター」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
  2. アドレスバーに以下のパスを入力してEnterキーを押すか、左側のツリーをたどります。
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows Defender
  3. 「Windows Defender」キー(フォルダ)を選択します。右側のペインにDisableAntiSpywareというDword値があるか確認します。
    • もしDisableAntiSpywareが存在し、その値が1になっている場合、Windows Defenderは無効化されています。
    • DisableAntiSpywareをダブルクリックし、「値のデータ」を0(ゼロ)に変更して「OK」をクリックします。
    • もしDisableAntiSpywareが存在しない場合は、この問題の原因ではありません。
  4. 続けて、Windows Defenderキーの下にReal-Time Protectionというサブキー(フォルダ)があるか確認します。もしあれば、それを選択します。
    • 右側のペインにDisableRealtimeMonitoringというDword値があるか確認します。
    • もし存在し、その値が1になっている場合、リアルタイム保護は無効化されています。
    • DisableRealtimeMonitoringをダブルクリックし、「値のデータ」を0(ゼロ)に変更して「OK」をクリックします。
    • もし存在しない場合は、この問題の原因ではありません。
  5. レジストリエディタを閉じ、PCを再起動してWindows Defenderが有効になるか確認します。

注意:他のセキュリティソフトをアンインストールした後にレジストリを操作する場合は、そのセキュリティソフトが残したレジストリがDefenderの機能を妨げている可能性もあります。不安な場合は、そのセキュリティソフトのメーカーが提供する「アンインストールツール」の利用も検討してください。


6. システムファイルの破損確認とマルウェアスキャン

Windows Defender関連のシステムファイルが破損している場合や、悪質なマルウェアがDefenderの機能を妨害している場合も、有効にならない原因となります。

6-1. システムファイルチェッカー (SFC) の実行

Windowsの重要なシステムファイルが破損していると、Windows Defenderの動作に影響が出ることがあります。システムファイルチェッカー(SFC)ツールは、破損したシステムファイルを検出して修復するのに役立ちます。

  1. Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
  2. コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
    sfc /scannow
  3. スキャンが完了するまで待ちます。完了後、PCを再起動し、Windows Defenderが有効になるか確認します。

6-2. Windows Defender オフラインスキャン

もしマルウェアがWindows Defenderの起動を妨害している可能性がある場合、Windows Defender オフラインスキャンを実行することが非常に有効です。これはWindowsが起動する前に実行されるため、マルウェアがアクティブでない状態でスキャンできます。

  1. 「スタート」メニューから「設定」を開き、「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」へ進みます。
  2. 「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
  3. 「現在の脅威」セクションで「スキャンオプション」をクリックします。
  4. 「Microsoft Defender オフラインスキャン」を選択し、「今すぐスキャン」をクリックします。
  5. PCが再起動し、オフラインスキャンが実行されます。完了後、PCは自動的に再起動します。

6-3. 別のマルウェア対策ソフトでのスキャン

Windows Defenderが完全に機能しない状況でマルウェア感染が疑われる場合、別の信頼できるマルウェア対策ソフト(例: Malwarebytes Freeなど)をダウンロードし、インストールしてシステム全体をスキャンすることをお勧めします。


7. その他の解決策

  • Windowsセキュリティの再登録: ごく稀に、Windowsセキュリティのコンポーネントが正しく登録されていない場合があります。PowerShellで特定のコマンドを実行して再登録を試す方法もありますが、これは上級者向けであり、慎重に行う必要があります。
  • システムの復元: もし問題が発生する前の復元ポイントがある場合、システムの復元を実行することで、以前の正常な状態に戻せる可能性があります。ただし、システムの復元は復元ポイント作成後にインストールされたアプリやドライバーを削除する場合があります。
  • Windowsの初期化(リセット)またはクリーンインストール: 上記すべての方法を試しても解決しない場合、Windowsシステム自体に深刻な破損がある可能性があります。最終手段として、重要なデータをバックアップした上でWindowsの初期化(データを保持しての初期化も可能)またはクリーンインストールを検討します。

まとめ

「Windows Defenderが有効になりません」という問題は、PCのセキュリティを脅かす深刻な状況ですが、多くの場合、他のセキュリティソフトの競合解消関連サービスの確認・再起動グループポリシーやレジストリの設定修正によって解決できます。

それでも改善しない場合は、システムファイルの破損チェックや、マルウェア感染の可能性を疑い、オフラインスキャンや別のセキュリティソフトでのスキャンも試しましょう。これらの手順を段階的に実行することで、Windows Defenderを復旧させ、PCを脅威から保護できるようになるはずです。もし自力での解決が難しいと感じた場合は、専門家への相談も検討してください。