「ファイル履歴」でバックアップが失敗する・復元できない場合の対処法

Last Updated on 2025年7月28日

Windowsに標準搭載されている「ファイル履歴」は、ドキュメント、ピクチャ、ビデオなど、主要な個人ファイルを自動的にバックアップしてくれる便利な機能です。これにより、誤ってファイルを削除してしまったり、ファイルが破損してしまったりした場合でも、簡単に以前のバージョンに戻したり、失われたファイルを復元したりできます。しかし、いざという時に「ファイル履歴」が正常に機能せず、バックアップが失敗したり、復元できなかったりする問題に直面することがあります。

このような状況では、大切なデータが失われるリスクが高まり、非常に不安を感じるでしょう。この問題は、バックアップ先のストレージの問題、関連サービスの停止、設定の不整合など、さまざまな原因で発生します。本記事では、「ファイル履歴」が正常に動作しない場合の具体的な対処法を解説します。バックアップ先のストレージ確認関連サービスの状態確認、そして別のバックアップ方法への移行など、段階的に試せる効果的な解決策をご紹介しますので、ぜひ大切なデータを確実に保護するために役立ててください。


目次


1. 「ファイル履歴」で問題が発生する主な原因

「ファイル履歴」でバックアップが失敗したり、復元できなかったりする主な原因は以下の通りです。

  • バックアップ先のストレージの問題: 接続不良(USBケーブルの緩み、ネットワークドライブへの接続切れ)、容量不足、ディスクの故障、フォーマットの問題など。
  • 「ファイル履歴」関連サービスの停止: 「ファイル履歴」の動作に必須のサービスが停止している。
  • 設定の不整合または破損: 「ファイル履歴」の設定ファイルが破損しているか、何らかの理由で正しく構成されていない。
  • Windowsシステムの不具合: Windows OS自体の問題や更新の失敗が「ファイル履歴」の動作に影響を与えている。
  • ファイルやフォルダの権限問題: バックアップ対象のファイルやフォルダへのアクセス権が不足している。
  • マルウェア感染: 悪質なソフトウェアがシステムのバックアップ機能を妨害している。

2. まず試すべき基本的な対処法

「ファイル履歴」のトラブルに遭遇したら、まずは以下の基本的な対処法から試してみましょう。意外とシンプルな方法で解決することがあります。

2-1. PCと外部ストレージの再起動

PCとバックアップ先の外部ストレージ(外付けHDD/SSD、NASなど)の一時的な不具合や通信の問題が原因の場合、両方のデバイスを再起動するだけで解決することがよくあります。

  1. まず外部ストレージの電源を切り、数分待ってから再度電源を入れます。(USB接続の場合は抜き差ししてみる)
  2. 次にPCを再起動します。
  3. 両方が起動したら、「ファイル履歴」の動作を再度確認します。

2-2. 物理的な接続の確認

バックアップ先のストレージへの物理的な接続を確認します。

  • USB接続の外付けHDD/SSDの場合:
    • USBケーブルがPCと外部ストレージにしっかりと差し込まれているか確認します。
    • 可能であれば、別のUSBポートに差し替えてみます。
    • 別のUSBケーブルがあれば、交換して試してみます。
    • 外部ストレージの電源アダプターが正しく接続され、電源が入っているか確認します。
  • ネットワークドライブ(NASなど)の場合:
    • NASやルーターの電源が正常に入っているか、ランプの状態を確認します。
    • PCが正しいWi-Fiネットワークに接続されているか、またはLANケーブルがPCとルーターにしっかりと差し込まれているか確認します。
    • ネットワークドライブへのアクセス権限に変更がないか確認します。

3. バックアップ先のストレージを確認する

バックアップ先のストレージ自体に問題がある可能性があります。

  1. 容量の確認: バックアップ先のドライブの空き容量が不足していないか確認します。「エクスプローラー」を開き、バックアップ先のドライブを右クリックして「プロパティ」を選択し、「空き領域」を確認します。容量が不足している場合は、不要なファイルを削除するか、より大容量のストレージを準備する必要があります。
  2. ドライブの健全性チェック: バックアップ先のドライブに物理的なエラーがないかチェックします。
    1. 「エクスプローラー」でバックアップ先のドライブを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
    2. 「ツール」タブをクリックし、「エラーチェック」セクションの「チェック」ボタンをクリックします。
    3. 指示に従ってスキャンと修復を実行します。
  3. ドライブの変更またはフォーマット: もし可能であれば、別の外付けHDD/SSDやネットワークドライブをバックアップ先として設定してみて、「ファイル履歴」が正常に動作するか確認します。既存のドライブをフォーマットすることで問題が解決することもありますが、フォーマットするとデータがすべて消去されるため、事前に重要なデータを他の場所にバックアップしてください。

4. 「ファイル履歴」関連サービスの状態を確認・再起動する

「ファイル履歴」の動作には、いくつかのWindowsサービスが関連しています。これらのサービスが停止している、または正しく動作していないと、バックアップが失敗する原因となります。

  1. 「サービス」の起動:Windowsの検索バーに「サービス」と入力し、「サービス」デスクトップアプリを開きます。
  2. 以下のサービスを探し、それぞれ「状態」が「実行中」「スタートアップの種類」が「自動」になっているか確認します。
    • File History Service(ファイル履歴サービス)
    • Workstation(ワークステーション)
    • Server(サーバー) (ネットワークドライブにバックアップしている場合)
  3. もし「実行中」になっていない場合は、サービス名を右クリックし、「開始」を選択します。
  4. すでに「実行中」の場合でも、一度「再起動」を試すことで問題が解消されることがあります。右クリックして「再起動」を選択してください。
  5. 「スタートアップの種類」が「自動」以外になっている場合は、サービスを右クリックして「プロパティ」を選択し、「スタートアップの種類」を「自動」に設定して「適用」→「OK」をクリックします。

5. 「ファイル履歴」の設定をリセット・再構成する

「ファイル履歴」の設定自体に不整合や破損が生じている可能性があります。設定をリセットし、再度構成することで解決することがあります。

  1. 「ファイル履歴」をオフにする:「スタート」メニューから「設定」を開き、「更新とセキュリティ」→「バックアップ」へ進みます。(Windows 11の場合は「設定」→「システム」→「ストレージ」→「高度なストレージ設定」→「バックアップオプション」)
  2. 「ファイル履歴を使用してバックアップ」セクションで、「オフにする」をクリックします。
  3. 「ファイル履歴」の構成ファイルを削除する(重要!)
    1. エクスプローラーを開き、以下のパスに移動します。(隠しファイルを表示する設定が必要です)
      C:\Users\[あなたのユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\Windows\FileHistory\Configuration
    2. この「Configuration」フォルダ内のすべてのファイル(通常はConfig1.xml, Config2.xmlなど)を削除します。
  4. PCを再起動します。
  5. 「ファイル履歴」を再度オンにする:PC再起動後、再度「設定」のバックアップオプションを開き、「ファイル履歴を使用してバックアップ」セクションで「オンにする」をクリックし、バックアップ先を再選択して設定を再構成します。

これにより、「ファイル履歴」のデータベースが再構築され、問題が解決する可能性があります。


6. その他の解決策と注意点

6-1. Windows Updateの確認

Windowsの更新プログラムには、バグ修正やパフォーマンスの改善が含まれていることがあります。「ファイル履歴」に関する問題も、最新のWindows Updateを適用することで解決する場合があります。

  1. 「スタート」メニューから「設定」を開き、「Windows Update」へ進みます。
  2. 「更新プログラムのチェック」をクリックし、利用可能な更新があればインストールします。
  3. 更新完了後、PCを再起動します。

6-2. システムファイルチェッカー (SFC) の実行

Windowsの重要なシステムファイルが破損していると、「ファイル履歴」を含む様々なシステム機能に影響が出ることがあります。システムファイルチェッカー(SFC)ツールは、破損したシステムファイルを検出して修復するのに役立ちます。

  1. Windowsの検索バーに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選択します。
  2. コマンドプロンプトウィンドウで、以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
    sfc /scannow
  3. スキャンが完了するまで待ちます。完了後、PCを再起動し、問題が解消されるか確認します。

6-3. マルウェアスキャン

悪意のあるプログラムがシステムのバックアップ機能を妨害している可能性もゼロではありません。Windows Defenderや信頼できるセキュリティソフトでフルスキャンを実行し、検出された脅威を駆除しましょう。

6-4. 別のバックアップ方法を検討する

上記すべての対処法を試しても「ファイル履歴」が安定しない場合、別のバックアップ方法への移行を検討することも重要です。

  • Windows バックアップ (Windows 11): Windows 11では「ファイル履歴」の代わりに「Windows バックアップ」が導入されています。OneDriveへの同期や、アプリ、設定、資格情報などのバックアップも可能です。
  • サードパーティ製バックアップソフトウェア: より高度な機能や安定性を求めるなら、Acronis True Image, EaseUS Todo Backup Free, Macrium Reflect Free などのサードパーティ製バックアップソフトウェアの利用を検討しましょう。これらは、システム全体のイメージバックアップやクラウドへのバックアップなど、多様な機能を提供しています。
  • クラウドストレージとの同期: OneDrive, Google Drive, Dropbox などのクラウドストレージサービスを利用して、重要なファイルをリアルタイムで同期する方法も有効です。

まとめ

Windowsの「ファイル履歴」でバックアップが失敗したり復元できない場合でも、慌てる必要はありません。まずはストレージの接続と空き容量の確認PCとストレージの再起動といった基本的なチェックから始め、次に関連サービスの確認と再起動、そして「ファイル履歴」設定のリセットと再構成といった手順を段階的に試していくことが重要です。

これらの手順を丁寧に実行することで、多くの場合、「ファイル履歴」は再び正常に動作し、大切なデータを保護できるようになるはずです。もし全ての対処法を試しても改善しない場合は、別のバックアップソフトウェアやクラウドストレージサービスへの移行を検討し、大切なデータの安全を確保することを最優先にしましょう。データのバックアップは、万が一の事態に備える最も重要な対策です。